こんにちは、黒羽です。
今日は、訪問鍼灸マッサージで独立開業を考えている方、あるいはすでに開業しているけれど、なかなか患者さんが増えない方に向けて、少し厳しいお話をしたいと思います。
それが、
「準備ばかりしている人は、いつまで経っても行動できない」
ということです。
僕はこれまで15年以上、訪問鍼灸マッサージの仕事を続けてきました。
また、YouTubeやブログ、メルマガなどを通じて、訪問施術の経営についても情報発信してきました。
その中で感じることがあります。
それは、開業前からものすごく勉強している人や、準備に時間をかけている人が、必ずしも経営で結果を出しているわけではないということです。
むしろ、準備ばかりしていて、肝心の営業活動になかなか踏み出せない人もいます。
例えば、
「ホームページが完成してから営業します」
「パンフレットをもう少し修正してからケアマネさんに挨拶に行きます」
「名刺のデザインを変更しているところです」
「もう少し訪問マッサージの営業について勉強してから動きます」
こういう話を聞くことがあります。
もちろん、準備すること自体は悪くありません。
しかし、僕が気になるのは、
「その準備、本当に今やる必要がありますか?」
ということです。
今日は、なぜ準備に時間をかけすぎると行動できなくなるのか。
そして、どうすれば準備ばかりの状態から抜け出せるのか。
この点についてお話ししたいと思います。
【準備をしていると、仕事をした気分になる】
まず、ここが非常に重要です。
例えば、訪問鍼灸マッサージで独立開業するとしましょう。
開業するとなれば、いろいろな準備が必要です。
ホームページを作る。
名刺を作る。
パンフレットを作る。
事業所の名前を決める。
ロゴを作る。
営業資料を作る。
事業計画を考える。
訪問ルートを検討する。
こういった作業があります。
そして、これらの作業をしていると、なんとなく充実感があるんですよね。
「今日はホームページを3時間も作業した」
「パンフレットが完成した」
「名刺が届いた」
「開業に向けて着実に進んでいる」
そう感じるわけです。
しかし、ここで一つ質問です。
その作業によって、患者さんにサービスを届けるための具体的な行動は進みましたか?
例えば、パンフレットを完成させた。
それ自体は一つの成果です。
でも、そのパンフレットを誰にも渡していなければ、紹介先の反応は分かりません。
ホームページを作った。
しかし、誰も見ていなければ、患者さんやご家族が何を知りたいのかも分かりません。
名刺を100枚作った。
でも、誰にも渡していなければ、紹介につながる可能性は広がりません。
つまり、
準備が完成したことと、事業が前に進んだことは、必ずしも同じではないのです。
ここを勘違いしてはいけません。
【なぜ人は準備ばかりしてしまうのか?】
では、なぜ準備ばかりしてしまうのでしょうか?
僕は、その理由の一つに、
「行動することへの不安」
があると思っています。
例えば、次の2つを比べてみてください。
① パンフレットの色や文章を修正する。
② ケアマネジャーの事業所へ連絡し、訪問鍼灸マッサージの説明をさせてもらえないか尋ねる。
どちらが精神的に楽でしょうか?
おそらく、多くの人にとって①だと思います。
なぜなら、パンフレットの修正は自分一人でできるからです。
誰にも断られません。
誰にも嫌な顔をされません。
自分のペースで進められます。
ところが、②は違います。
電話をかけたら、
「今は必要ありません」
と言われるかもしれません。
実際に説明しても、
「うちはすでに別の訪問マッサージ事業所と連携しています」
と言われるかもしれません。
あるいは、まったく反応がないかもしれません。
つまり、営業には不確実性があるわけです。
人間は、こうした不安を感じる行動を先延ばしにしてしまうことがあります。
心理学でも、先延ばしは単なる怠けではなく、不快な気持ちを一時的に避ける行動として説明されることがあります。
だから、
「もう少し準備してから」
という言葉の裏側に、
「まだ断られたくない」
「まだ失敗したくない」
という気持ちが隠れている場合があるのです。
もちろん、すべての人がそうだとは言いません。
しかし、自分自身に一度問いかけてみてほしいのです。
「本当に準備が足りないのか?」
それとも、
「営業するのが怖いから、準備を続けているのか?」
この違いは大きいと思います。
【ホームページが完成しても、患者さんが増えるとは限らない】
例えば、開業前に立派なホームページを作ったとしましょう。
制作会社に依頼して、見た目もきれい。
写真もプロに撮影してもらった。
文章も丁寧に作り込んだ。
非常に立派なホームページです。
しかし、それだけで患者さんが集まるとは限りません。
なぜなら、ホームページは作っただけでは、その存在を必要な人に知ってもらえるとは限らないからです。
検索してもらえるか。
患者さんやご家族が必要な情報を見つけられるか。
相談しやすい内容になっているか。
そうしたことを確認する必要があります。
これはパンフレットも同じです。
例えば、何日もかけてパンフレットを作った。
ところが、実際にケアマネジャーに見てもらったら、
「訪問マッサージの対象になる方が、よく分からないですね」
と言われた。
あるいは、
「訪問リハビリとの違いをもう少し説明してほしいです」
と言われた。
こういうことがあるかもしれません。
でも、これは非常に貴重な意見です。
なぜなら、自分では気づかなかった問題点が分かったからです。
机の上で何日も悩むより、実際に相手の反応を確認した方が、改善すべき点が明確になることがあります。
だからこそ、僕は最初から完璧なパンフレットを目指す必要はないと思っています。
必要な情報が正確に記載されていて、相手が理解できる状態になっている。
まずは、そこを目指す。
そして実際に使ってみる。
質問されたことを記録する。
分かりにくい部分を修正する。
また使ってみる。
こうして改善していけばいいのです。
【成功した自分を想像するだけで満足していませんか?】
もう一つ、注意したいことがあります。
それが、
「成功した自分を想像して満足してしまうこと」
です。
例えば、
「独立開業したら、毎月これくらいの売上になるだろう」
「患者さんが増えたら、スタッフを雇おう」
「将来は事業所を大きくしていきたい」
「自由な時間を増やして、好きなことをしたい」
こうした将来の目標を考えることは悪いことではありません。
むしろ、目標を持つことは大切です。
しかし、成功した姿を想像するだけで満足してしまい、実際の行動につながらないことがあります。
心理学の研究でも、理想的な未来を肯定的に思い描くだけでは、必ずしも実行するためのエネルギーが高まらないことが報告されています。
もちろん、これは開業準備をすると必ず行動できなくなるという意味ではありません。
ただ、注意したいのは、
「将来こうなりたい」と考えている時間が、実際に行動する時間の代わりになっていないか?
ということです。
例えば、
「将来は患者さん100人の事業所にしたい」
という目標があるとします。
では、その目標に向けて、今日は何をしたのでしょうか?
営業先を1件調べたのか。
サービス内容を説明する機会を相談したのか。
紹介先から質問を受けたのか。
訪問ルートの問題を確認したのか。
こうした具体的な行動が必要です。
目標を考えることと、目標に近づくことは違います。
夢を語ることは簡単です。しかし、現実を変えるには行動が必要なのです。
【準備には終わりがない】
これも、よくある問題です。
例えば、パンフレットを作ったとします。
最初は、
「これで十分かな」
と思っていた。
しかし、ほかの訪問マッサージ事業所のパンフレットを見ると、
「こっちの方がデザインがいいな」
と思う。
そこで修正する。
今度は別のホームページを見る。
「この説明も入れた方がいいかな」
と思う。
また修正する。
さらに、
「もう少し勉強してから営業した方がいいかな」
と考える。
こうして、いつまで経っても準備が終わらなくなるわけです。
なぜこうなるのでしょうか?
理由は単純です。
準備の合格ラインを決めていないからです。
例えば、パンフレットなら、
・どのようなサービスなのか
・どのような方が対象なのか
・どのような流れで相談できるのか
・費用はどのように説明するのか
・どこへ問い合わせればいいのか
こうした必要な情報が、誤解なく伝わる状態になったら、まず使ってみる。
そう決めておけばいいのです。
もちろん、広告規制や制度上の取扱いなど、確認すべき事項はあります。
しかし、必要な確認を済ませた後も、ロゴの色や文字の大きさを延々と修正しているのであれば、一度考え直した方がいいかもしれません。
完璧な準備を目指しているうちに、行動する機会を失ってしまうことがあるからです。
【ただし、準備を省いていいという意味ではない】
ここは誤解してほしくないところです。
僕は、
「準備なんて必要ない!」
と言いたいわけではありません。
訪問鍼灸マッサージは、患者さんの身体に直接関わる仕事です。
ですから、安全性や制度上の要件を軽視してはいけません。
例えば、
・必要な国家資格の確認
・開業に関する届出や手続き
・医療保険の療養費を扱う場合の要件確認
・安全管理や衛生管理
・施術内容についての説明と同意
・個人情報の適切な取扱い
こうしたことは、開始前に確認すべき重要な事項です。
また、訪問施術を行うのであれば、患者さんの身体状態に応じた安全な施術を提供できることも必要です。
これらを確認せずに、
「とにかく行動だ!」
と施術を始めるのは違います。
僕が言いたいのは、
「絶対に必要な準備」と「後から改善できる準備」を分けて考えよう
ということです。
例えば、国家資格や必要な手続き、安全管理は後回しにできません。
一方、名刺のデザインやホームページの細かな装飾は、後から改善できる部分も多いでしょう。
この違いを理解することが大切です。
【僕なら、まず営業先の反応を確認する】
では、僕が今から訪問鍼灸マッサージの開業準備を始めるとしたら、どうするでしょうか?
もちろん、必要な資格や手続き、安全管理などを確認することが前提です。
そのうえで、僕なら最初から豪華なホームページを作ることには、それほど時間をかけないと思います。
まずは、サービス内容を説明できる簡単な資料を作ります。
そして、地域のケアマネジャーや関係機関に、適切な方法で説明の機会を相談します。
ここで重要なのは、いきなり患者さんを紹介してもらうことだけを考えないことです。
まずは、
「どのような患者さんが訪問マッサージを必要としているのか?」
「ケアマネジャーは何を知りたいのか?」
「どのような情報があれば紹介を検討しやすいのか?」
こうしたことを確認するのです。
例えば、
「訪問マッサージと訪問リハビリはどう違うんですか?」
と聞かれた。
それなら、次の資料には違いを分かりやすく説明する項目を追加すればいい。
「医師の同意書はどうやって取得するんですか?」
と聞かれた。
それなら、同意書の手続きを説明できるようにすればいい。
「どのくらいの費用がかかるんですか?」
と聞かれた。
それなら、制度上の条件を踏まえた費用の説明を整理すればいい。
こうして実際の質問を集めることで、営業資料は少しずつ改善されていきます。
つまり、
営業活動そのものが、次の準備に必要な情報を集める機会にもなるのです。
もちろん、営業先への連絡や訪問では、相手の業務を妨げないように配慮する必要があります。
無理な営業や、紹介を強要するような行動は避けるべきです。
大切なのは、相手が必要としている情報を理解し、適切な関係を築くことです。
【行動できない人は、予定が曖昧になっている】
では、準備ばかりしてしまう人は、どうすればいいのでしょうか?
僕がおすすめしたいのは、
「いつ、どこで、何をするのか」を具体的に決めることです。
例えば、
「来週から営業を頑張ります」
これでは曖昧です。
何曜日に?
何時に?
どこへ?
何をするのでしょうか?
こうしたことが決まっていなければ、結局また準備を始めてしまうかもしれません。
そこで、次のように決めます。
「月曜日までにサービス案内を1枚にまとめる」
「火曜日の午前10時に、事前に調べた居宅介護支援事業所へ電話する」
「サービス内容を説明する機会をいただけるか相談する」
「相手から質問された内容を記録する」
ここまで具体的にします。
心理学では、このように特定の状況と行動を結びつける計画を「実行意図」と呼びます。
目標達成を促す方法として研究されている考え方です。
もちろん、これを実践したからといって、必ず患者さんが増えるわけではありません。
しかし、
「そのうち営業しよう」
と考えているよりも、行動を具体化しやすくなると思います。
行動できる人は、気合いだけに頼っているわけではありません。
行動する日時と内容を決めているのです。
【断られても、それは無駄な行動ではない】
ここも重要です。
営業を始めたばかりの方は、
「断られたら失敗だ」
と考えてしまうことがあります。
しかし、僕は必ずしもそうではないと思っています。
例えば、ケアマネジャーにサービスの説明をしたとします。
その結果、
「今は紹介できる患者さんがいません」
と言われた。
もちろん、患者さんの紹介にはつながりませんでした。
でも、そのときに、
「どういう患者さんが対象になるんですか?」
という質問を受けたとします。
それなら、対象者の説明が分かりにくかった可能性があります。
次回は、もっと分かりやすく説明できるように改善すればいい。
あるいは、
「今は忙しいので、資料だけ置いていってください」
と言われた。
それなら、忙しい相手でも短時間で内容を理解できる資料にすることが大切かもしれません。
もちろん、相手が何も話してくれなかった場合もあります。
その場合は、無理に理由を聞き出す必要はありません。
ただ、行動してみたからこそ分かることがあるのです。
僕は、
「断られた回数」よりも「行動して何を学んだか」
を大切にしてほしいと思います。
営業は、最初からすべてがうまくいくとは限りません。
むしろ、実際に動きながら説明方法や資料を改善していくことが重要です。
【準備ばかりしてしまう人に、僕がすすめる3つの方法】
ここまでお話ししてきましたが、最後に具体的な方法を3つ紹介します。
① 準備には期限を決める
例えば、
「パンフレットは金曜日までに完成させる」
と決めます。
ただし、必要な情報の正確性や広告上の問題がないことは確認してください。
そのうえで、いつまでも細かなデザインを修正し続けないことです。
② 準備の次に行うことまで決める
「パンフレットを完成させる」
だけでは不十分です。
「完成させたパンフレットを、翌週に説明先で使ってみる」
というところまで予定を立てます。
準備と行動をセットにするわけです。
③ 毎日、行動した内容を記録する
例えば、次の3つです。
「今日は誰に何を伝えたのか?」
「相手からどんな質問や反応があったのか?」
「その結果、何を改善するのか?」
これを記録します。
もちろん、営業活動だけでなく、患者さんの受け入れ体制や訪問ルートなど、運営上の確認にも応用できます。
重要なのは、準備した時間だけを成果として考えないことです。
実際に何を確かめ、何を学んだのか。
そこに目を向けてほしいと思います。
【黒羽のひとこと:準備が完璧になったら行動する人は、いつまで経っても動けない】
僕は、訪問鍼灸マッサージで独立開業するうえで、行動力は非常に重要だと思っています。
もちろん、施術技術も大切です。
制度の理解も必要です。
患者さんの安全管理も欠かせません。
しかし、それらの必要な条件を整えた後は、実際に動かなければ何も始まりません。
例えば、ものすごく立派なホームページを持っている人がいたとします。
パンフレットもきれい。
名刺もおしゃれ。
事業計画も完璧。
でも、誰にもサービスの説明をしていない。
紹介先との関係も作っていない。
それでは、患者さんにサービスを知ってもらう機会はなかなか生まれません。
一方で、ホームページは必要最低限。
パンフレットもシンプル。
それでも、地域の関係機関へ丁寧に説明し、相手の疑問を聞きながら改善している人がいたとします。
僕なら、後者のような人の方が、事業を前に進める機会を作りやすいと思います。
なぜなら、実際に行動しているからです。
ここで、一つ覚えておいてほしいことがあります。
準備は、行動するためにするものです。
行動しない理由になったとき、その準備は見直す必要があります。
もちろん、準備不足のまま施術を提供していいわけではありません。
資格、必要な手続き、安全管理、制度上の要件など、確認すべきことは必ず確認してください。
しかし、ロゴの色を変えることや、ホームページの文章を何度も修正することが、営業活動を先延ばしにする理由になっているのであれば、考え直してみてください。
僕が言いたいのは、
「準備をやめろ」ではありません。
「必要な準備ができたら、実際に使ってみよう」
ということです。
そして、実際に使ってみて、うまくいかなかったら改善すればいい。
相手から質問されたら、説明を見直せばいい。
資料が分かりにくいと言われたら、修正すればいい。
最初から完璧である必要はありません。
ただし、安全性や法令上の要件については、最初から適切に対応する必要があります。
そこは明確に区別してください。
最後に、今から独立開業しようとしている方、そして開業したものの患者さんがなかなか増えない方に質問です。
「あなたは今日、事業を前に進めるために何をしましたか?」
ホームページを修正した。
パンフレットを作った。
勉強した。
それも必要な作業かもしれません。
しかし、もし必要な準備がすでに整っているのであれば、明日は一つ、外に向けた行動をしてみてください。
例えば、営業先を調べる。
説明の機会を相談する。
相手が知りたい情報を確認する。
まずは、できることから始めればいいのです。
行動すれば、初めて分かることがあります。
分かったことを改善すれば、次の行動につながります。
この繰り返しが、訪問鍼灸マッサージの経営では重要なのだと思います。
準備を完璧にすることが目的ではありません。
患者さんに必要なサービスを届けられる事業所を作ること。
それが本来の目的です。
ぜひ、今日から意識してみてください。