こんにちは、黒羽です。
今日は、
【なぜ、お金持ちほど巨額詐欺に遭うことがあるのか?】
という話をしたいと思います。
ニュースを見ていると、ときどき驚くような話があります。
何億円。
何十億円。
普通に生活している僕たちからすると、
「どうしたらそんな金額を騙されるんだ?」
と思ってしまいますよね。
しかも被害に遭っているのは、社会的に成功している人だったりします。
有名な経営者。
芸能人。
スポーツ選手。
「これだけ成功した人なら、普通の人より頭も切れるだろう」
「周りに専門家だっているだろう」
「なぜそんな人が騙されるの?」
と思います。
でも僕は、いろいろな事例を見るほど、
【成功している人だから騙されない】
という考え方自体が危険なのではないかと思っています。
むしろ、
お金がある。
忙しい。
人に仕事を任せる必要がある。
大きな金額を日常的に扱っている。
人からいろいろな話を持ち込まれる。
こういう条件が重なるほど、一度信用を突破されたときの被害額が大きくなる可能性があります。
今日はそんな話です。
■ 矢沢永吉さんが背負った「35億円」
有名な話として、矢沢永吉さんのオーストラリアでの巨額被害があります。
報道によると、矢沢さんは80年代後半、世界進出を見据えてオーストラリア・ゴールドコーストに土地やビルを購入。
音楽スタジオや音楽学校などを作る構想があったそうです。
ところが、その管理などを任せていた人物らによる不正が発覚。
土地や建物が本人の知らないところで処分され、結果として約35億円という巨額の負債を抱えることになったと報じられています。
35億円ですよ。
僕たちからすれば、
「そんなこと本当にあるの?」
という金額です。
でも僕がこの話で注目したいのは、
【まったく知らない怪しい人から、突然35億円を騙し取られた】
という単純な話ではないことです。
事業をするために人を信頼し、実務を任せていた。
つまり、
【信頼の中にリスクが入り込んでいた】
というところです。
ここが非常に怖いと思います。
■ 亀田興毅さんも巨額のお金を失った
もう一つ印象的なのが、元世界チャンピオンの亀田興毅さんの話です。
亀田さんは過去の番組などで、自身が大きな詐欺被害に遭ったことを明かしています。
最初は投資のような話から始まり、その後お金を求められるようになり、最終的には大きな金額を失ったと振り返っています。
しかも相手は、まったく知らない人物ではありません。
亀田さん自身が「兄貴」と呼ぶほど信用していた人物だったと語っています。
さらに後年のテレビ出演では、現役時代の収入について振り返る中で、投資に約7億円を使い、利益は得られなかったことも明かしています。
最初は3000万円ほどだったものが、
「世界戦をすればまた何千万円と入ってくる」
という感覚もあり、最終的に7億円まで膨らんでいったと振り返っています。
僕はここにも、大きな教訓があると思っています。
■ 詐欺師は「詐欺師の顔」をしてやってこない
僕たちは詐欺と聞くと、
見るからに怪しい人。
突然電話をかけてくる知らない人。
いきなり、
「絶対儲かりますよ!」
と言ってくる人。
そんなイメージを持ってしまいます。
でも、本当に怖いのはそういう分かりやすい相手ではないと思います。
最初は普通なんです。
知人から紹介された。
仕事で付き合いがある。
スポンサーだった。
長年一緒に仕事をしている。
友人として付き合っている。
尊敬している人から紹介された。
そうやって、
【信用の入口】
を突破してくる。
だから僕は、
【人を信用することと、お金を信用することは分けた方がいい】
と思っています。
これ、ものすごく重要だと思います。
■ 「あの人の紹介だから大丈夫」が一番危ない
例えば僕の知り合いが、
「この人、すごくいい人だから」
と誰かを紹介してくれたとします。
僕は紹介してくれた知人を信用しています。
だから紹介された人も信用する。
これは人間として自然です。
でも、
Aさんを信用している。
AさんがBさんを紹介した。
だからBさんも信用できる。
これは論理的には別の話なんですよね。
さらに、
Bさんという人間を信用できる。
だからBさんが持ってきた投資案件も信用できる。
これもまた別問題です。
ここをごちゃ混ぜにすると危ない。
【人への信頼】
と
【取引への検証】
は別です。
どれだけ人として好きでも、
1000万円を送金するなら確認する。
どれだけ長い付き合いでも、
不動産の名義は確認する。
どれだけ尊敬している人からの紹介でも、
契約書は第三者に見てもらう。
これは、
「あなたを疑っています」
という話ではありません。
お金を扱う以上、当然のルールとして確認する。
僕は、このくらいの距離感がちょうどいいと思います。
■ お金持ちになるほど「自分で全部確認する」が難しくなる
もう一つ、お金持ちや成功者が大きな被害に遭いやすい理由として考えられるのが、
【忙しすぎる】
ことです。
例えばトップアスリートなら、
練習。
試合。
遠征。
取材。
スポンサー対応。
コンディショニング。
これだけでも大変です。
芸能人なら、
撮影。
ライブ。
収録。
移動。
打ち合わせ。
当然、自分ですべての契約書を確認して、銀行口座を確認して、登記を調べて、投資先の財務状況まで確認するなんて現実的ではありません。
だから人に任せます。
経理担当。
マネージャー。
税理士。
弁護士。
コーディネーター。
これは悪いことではありません。
事業を大きくするなら必要です。
でも、
【任せる】
と
【丸投げする】
は違います。
ここに僕は大きな違いがあると思っています。
■ 「自分は騙されない」が一番危険かもしれない
詐欺の話をすると、
「俺はそんなの引っかからないよ」
という人がいます。
でも僕は、自分自身も含めて、
【誰でも条件が揃えば騙される可能性がある】
と思っておいた方が安全だと思っています。
自分の得意分野なら分かります。
でも専門外になったらどうでしょう?
海外不動産。
暗号資産。
未公開株。
事業投資。
M&A。
税金。
法人スキーム。
融資。
担保。
登記。
契約。
これらを全部正確に判断できる人なんて、ほとんどいないと思います。
僕だって無理です。
だったら、
「自分は頭がいいから大丈夫」
ではなく、
【分からないものは分からない】
と認める。
そして専門家に確認する。
これが一番強いと思います。
■ 特に危険なのが「引くに引けなくなること」
そして僕が一番怖いと思うのがこれです。
最初に100万円出した。
うまくいかない。
すると、
「あと100万円あれば回収できます」
と言われる。
追加する。
またダメ。
今度は、
「ここでやめたら今までのお金が全部無駄になります」
と言われる。
また追加する。
300万円。
500万円。
1000万円。
気づいたら、
【お金を取り戻すために、さらにお金を入れている】
状態になります。
人間には、
「ここまでお金を使ったんだから、今さらやめられない」
という心理があります。
いわゆるサンクコスト、埋没費用の問題ですね。
亀田さんも当時を振り返り、「最後までいかなあかん」という感覚になっていたことを語っています。
これは投資だけではありません。
事業でも同じです。
広告費を100万円使った。
成果が出ない。
でも、
「ここまで使ったんだから、もう100万円入れよう」
となる。
人を採用した。
うまくいかない。
でも、
「ここまで教育したんだから」
とズルズル続ける。
大切なのは、
【今までいくら使ったか】
ではなく、
【今この瞬間、ゼロから考えてもこの選択をするか?】
です。
これ、僕はかなり大切な考え方だと思っています。
■ お金がある人ほど「金額の感覚」が変わる
亀田さんの話でも興味深いところがあります。
現役時代、世界戦をすれば大きなお金が入ってくる。
そのため、大きな金額に対する感覚が変わっていたという趣旨の振り返りをしています。
これも分かる気がします。
月収30万円の人にとって100万円は、とてつもなく大きい。
でも毎月何千万円、何億円というお金が動く世界にいると、
100万円。
1000万円。
3000万円。
という数字に対する感覚が変わる可能性があります。
これは僕たちにも関係あります。
収入が増えたからといって、
【リスク許容度まで同じ割合で増やしていい】
わけではありません。
収入が10倍になったから、怪しい案件に10倍のお金を入れていいわけではない。
むしろ資産が増えてきたら、
【増やすことより守ること】
を考える必要が出てくると思います。
■ 僕なら「お金を動かすルール」を先に作る
こういう話を見るたびに、僕は
【判断力より仕組みの方が大切】
だと思います。
例えば、
一定額以上の投資はその場で決めない。
必ず数日置く。
第三者に見てもらう。
紹介者とは関係のない専門家にも確認する。
契約相手と振込先の名義を確認する。
連帯保証は簡単にしない。
理解できないものには投資しない。
こういうルールを、
【儲かりそうな話が来る前】
に決めておく。
これが大切です。
儲かりそうな話を目の前に出されてから冷静に考えようとしても、欲が入ります。
「これを逃したらもったいない」
となります。
だから先にルールを決める。
これは投資でも経営でも同じです。
■ 「信用しているから確認しない」は優しさではない
僕はここも大切だと思っています。
例えば長年付き合っている人から、
「俺を信用していないの?」
と言われたとします。
でも1000万円、5000万円、1億円というお金が動くなら、
信用していても確認すればいいんです。
むしろまともな人なら、
「当然確認してください」
と言うと思います。
逆に、
「俺を信用しているなら契約書なんかいらない」
「税理士には言わなくていい」
「弁護士を入れる必要はない」
「今日決めないとダメ」
「家族にはまだ言わない方がいい」
こういう話になったら、僕ならかなり警戒します。
本当に良い案件なら、
【第三者に確認されて困る理由がない】
からです。
■ お金を守る最大の方法は「疑うこと」ではない
こういう話をすると、
「じゃあ誰も信用するなということですか?」
と思われるかもしれません。
僕は逆だと思っています。
人は信用していい。
友人も信用する。
仕事仲間も信用する。
スタッフも信用する。
でも、
【信用と権限を一緒にしない】
ということです。
人として信用することと、
自由にお金を動かせる権限を渡すことは別です。
仲が良いことと、
契約書を確認しなくていいことも別です。
長年付き合っていることと、
何千万円を無条件で預けていいことも別です。
ここを分離する。
僕はこれが、お金を守るうえですごく重要だと思います。
■ 稼ぐ力より「失わない力」が大切になってくる
若い頃や資産が少ない頃は、
「どうやって稼ぐか?」
ばかり考えます。
僕自身もそうでした。
でも、ある程度お金が貯まってくると考え方が変わってきます。
100万円を200万円にすることより、
1000万円を失わないこと。
5000万円を6000万円にすることより、
5000万円を一発で失わないこと。
資産形成というのは、
【増やすゲーム】
であると同時に、
【退場しないゲーム】
でもあると思っています。
だから僕は投資についても、理解できないものに無理して手を出す必要はないと思っています。
派手な利回りを狙わなくてもいい。
誰かが儲かった話に乗らなくてもいい。
時間をかけて、確率の高い方法を続ける。
それで十分です。
■ 「この人なら大丈夫」が一番怖い
詐欺というと、
怪しい人を見抜く能力が必要だと思ってしまいます。
でも僕は、
【人を見る目だけに頼らない】
ことの方が重要だと思います。
どれだけ人を見る目があっても間違えることはあります。
だから、
人ではなく仕組みで守る。
大きなお金を一人の判断で動かさない。
一定額を超えたら第三者に確認する。
資産を分けておく。
生活費と事業資金を分ける。
一つの投資に全財産を入れない。
追加資金を要求されたら、一度ゼロから考える。
こういう地味な仕組みが、結局一番強いと思います。
そして僕自身も、
【自分は絶対に騙されない】
とは思わないようにしています。
むしろ、
「自分だって普通に騙される可能性がある」
くらいでちょうどいい。
だから確認する。
だから分散する。
だから理解できないものには近づかない。
これは臆病なのではなく、リスク管理です。
■ 最後に
矢沢永吉さんや亀田興毅さんのように、その世界でトップまで行った人でも、巨額のお金を失うことがあります。
それを見て、
「なんでそんな話を信用したんだろう」
と笑うのは簡単です。
でも大切なのは、
【自分なら絶対に大丈夫と思わないこと】
だと思います。
僕たちだって、
大切な友人から紹介されたら?
尊敬している経営者から勧められたら?
長年付き合っている人から頼まれたら?
「絶対大丈夫」と思っている専門家から言われたら?
そして自分自身がすでに何百万円も出していたら?
本当に冷静でいられるでしょうか。
だからこそ、
【人への信頼と、お金への検証は分ける】
これです。
信用している人だからこそ契約する。
信用している人だからこそ記録を残す。
信用している人だからこそ第三者にも確認してもらう。
それでいいと思います。
そして、ある程度お金を持つようになったら、
「どうやってもっと増やすか?」
だけではなく、
【どうやって大きく失わないか?】
を考える。
お金持ちになること以上に、
【お金持ちであり続けること】
の方が難しいのかもしれません。
派手に儲けなくてもいい。
一発逆転を狙わなくてもいい。
分からないものには手を出さない。
人間関係とお金を混同しない。
そして致命傷だけは避ける。
僕は、お金についても事業についても、
【長期的に退場しないこと】
が結局一番強いと思っています。
それでは、また。