こんにちは、黒羽です。

令和8年7月の療養費改定について、前回のメルマガでは7つの重要ポイントを解説しました。

その後も通知や疑義解釈を何度も読み返していたのですが、一つ強く感じたことがあります。

それは、

「これからは個人でやる施術者のほうが有利な時代になっていくのではないか」

ということです。

もちろん、これは私個人の考えです。

しかし、今回の改定内容を見ていると、そのような流れを感じずにはいられませんでした。

 

出張専門施術者が圧倒的に有利になった理由

今回、私が最も注目したのは「通所施術」のルールです。

これまでは、治療院を構えている先生でも、患者さんのご自宅で施術を行い、通所施術料として請求しているケースも少なくありませんでした。

しかし今回の改定では、その考え方がより明確になりました。

治療院がある以上、

歩行可能な患者さんは、原則として治療院へ通院する。

これが制度の基本的な考え方です。

つまり、

歩行できる患者さんのご自宅へ訪問して施術をした場合、

実態に合わせて訪問施術料を算定する必要があり、通所施術料で請求することは適切ではないという運用が示されています。

ところが出張専門施術者は違います

一方で、

出張専門の届出をしている施術者には、例外が設けられています。

なぜなら、

出張専門施術者には治療院がありません。

患者さんが通院する場所そのものが存在しないのです。

そのため、

歩行可能な患者さんであっても、

患者さんのご自宅で施術を行い、

通所施術料を算定することが認められています。

これは非常に大きな違いです。

つまり、

同じように患者さんのご自宅で施術をしていても、

出張専門施術者と治療院を構えている施術者では、制度上の取り扱いが異なるのです。

 

将来的な「見込み患者」を確保できる

私はここが一番大きなポイントだと思っています。

例えば現在は歩行可能な患者さん。

出張専門施術者であれば、

通所施術として継続的に施術を行うことができます。

しかし高齢者は年齢を重ねるにつれて、

少しずつ歩行能力が低下していきます。

そして、

いよいよ歩行困難となり、

医師から訪問施術が必要と判断されれば、

そのまま訪問施術料へ移行できます。

つまり、

今は通所施術。

将来は訪問施術。

患者さんとの関係を継続しながら、状態に応じて適切な制度へ移行できるわけです。

これは施術者にとっても大きなメリットです。

歩行可能な患者さんを継続して診ることができるため、将来的に訪問施術へつながる患者さんを育てていくことができます。

治療院を構えている先生はどうでしょうか

一方、

店舗を構えている場合は事情が異なります。

歩行可能な患者さんは、

本来であれば治療院へ通院できるという考え方になります。

もし歩行可能なのに自宅へ訪問し、

制度に合わない請求を続けていた場合、

将来的に保険者から実態を確認される可能性もあります。

最近では、

患者さんへのアンケート調査や、

個別指導などを通じて、

実際の施術状況を確認するケースも増えています。

「今まで大丈夫だったから。」

「他もやっているから。」

という理由では通用しない時代になってきたのではないでしょうか。

もし請求内容と実態が一致しないと判断されれば、

返還を求められる可能性もあります。

それだけではありません。

患者さんや紹介元との信頼にも影響するかもしれません。

だからこそ、

制度に沿った運営をすることが、これまで以上に重要になってくると思います。

今回の改定で感じたこと

今回の改定では、

 

紹介料・キックバックの禁止。

関連施術所の明確化。

16回ルール。

訪問施術総括表。

そして今回の通所施術の考え方。

 

これらを総合して考えると、

私は保険者が、

分院展開や大規模に運営している施術所に対して、より厳しく実態を確認していこうとしている

そんな印象を受けました。

もちろん、

分院展開そのものが悪いという話ではありません。

適正な運営をされている先生方には何も問題ありません。

ただ、

規模が大きくなればなるほど、

管理しなければならないことも増えます。

制度上のチェックも厳しくなります。

その一方で、

出張専門施術者は制度上の柔軟性を活かしながら、シンプルで適正な運営を続けやすい環境にあるように感じます。

最後に

今回の療養費改定を見て、

私は改めてこう思いました。

これからは「個人の時代」なのではないでしょうか。

大きな組織を作ることだけが成功ではありません。

制度を正しく理解し、

無理に規模を拡大せず、

適正な請求を続けながら地域の患者さんに貢献する。

そんな堅実な経営が、これからますます評価される時代になるような気がしています。

制度はこれからも少しずつ変わっていきます。

だからこそ、その変化を正しく読み取り、自分の治療院経営に活かしていくことが何より大切です。

今後も制度改正や実務情報について、できるだけ分かりやすくお伝えしていきますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。