「とりあえず検査費用はこちらで払いますね」
現場で、ついこう言ってしまったことはありませんか?
訪問の現場では
・移乗中にバランスを崩して尻もち
・備品が倒れて軽く接触
・施術後に「鍼がついていたかも」と指摘
こういった“ヒヤリ”とする場面は、実は珍しくありません。
そしてそのあと、かなりの確率で出てくるのが
「念のため病院で検査したいです」という言葉です。
あるケースでは、尻もちをついた利用者さん。
その場では痛みの訴えもなく、問題なさそうに見えました。
ですが施設側の判断で「何かあってはいけない」と受診へ。
また別のケースでは、備品が当たったあと帰宅。
その後、不安になり脳神経外科や口腔外科を受診。
さらに別のケースでは、
「衣服に鍼がついていた」と家族から指摘が入り、
感染の不安から数ヶ月にわたり複数回の検査に至りました。
ここで共通しているのは、
その場では大きな問題がなさそうでも、後から不安が膨らむという点です。
そしてもう一つ、現場で本当によくあるのが
「申し訳ないので、検査費用は払います」
と、すぐに言ってしまう対応です。
気持ちはすごく分かります。
誠実に対応したいからこその言葉です。
ただ、この一言が後から大きな責任につながることがあります。
ポイントはシンプルです。
“支払いの約束をスタートにしない”
事故が起きた場合、まず大切なのは真摯な謝罪です。
そして、利用者さんが「検査を受けたい」と言った場合、
それを止めることはできません。
ただ、そのときに
「費用は払いますので受けてください」
と伝えてしまうと、
全面的に責任を認めたと受け取られる可能性があります。
現場で使える一言はこれです。
「検査結果次第では、費用について対応させていただく必要があると考えております」
この一言で、誠意は伝えつつ、
確定的な約束を避けることができます。
実際、検査の結果として傷病が認められた場合は、
診断書をもとにその後の対応義務が発生します。
だからこそ、最初の一言で“全部背負う形”にしないことが重要です。
早く解決したい気持ちから、
先に支払いを申し出たくなる場面もあると思います。
ですがそれは「最後の判断」として扱うものです。
この順番を間違えると、
小さな事故が大きなトラブルに変わります。
こういった“現場での一言”や対応の違いで、
トラブルになるか、信頼関係を守れるかが大きく変わります。