訪問の現場では、時々ヒヤッとする出来事があります。
それが
「ここに入れていたお金がない」
という言葉です。
例えば、
「この引き出しに1万円入れていたんだけど…」
「財布にお金を入れていたんだけど、減っている気がする」
このような言葉を患者さんから言われることがあります。
もちろん、実際には私たち施術者が取っているわけではありません。
しかし訪問という環境では、施術者と患者さんが二人きりになることも多く、疑われてしまう状況が生まれやすいのも事実です。
さらに訪問の現場では、認知症の方も多くいらっしゃいます。
・どこにお金を入れたか忘れてしまう
・自分で別の場所に移動させてしまう
・家族が管理している
・実際は最初から入っていなかった
こういったケースも珍しくありません。
ただここで大切なのは、
「自分はやっていない」ではなく、
疑われる状況を作らないことです。
これは訪問の仕事をしていくうえで、とても大事な意識になります。
実際に現場ではこんなケースがあります。
ある訪問先で、施術者が患者さんの自宅に伺いました。
準備をしているときに、テーブルの上に財布が置いてありました。
財布は開いたままで、中には現金も見えています。
施術者は「まあ大丈夫だろう」と思い、特に気にせずそのまま施術を始めました。
施術が終わり、帰ろうとしたときに患者さんがこう言いました。
「さっきここに1万円入ってたんだけど…」
施術者はもちろん触っていません。
しかし患者さんの中では
「さっきまであったのに…」
「この人しか家に入ってない…」
という考えが浮かんでしまう可能性があります。
実際にはその後、
・別の引き出しからお金が出てきた
・家族が移動していた
・患者さんの勘違いだった
ということもよくあります。
ただ、一度こういう話が出てしまうと
患者さんとの関係も少し気まずくなりますし、施術者自身もとても嫌な気持ちになります。
場合によっては事業所に連絡が入り、説明が必要になることもあります。
もちろん私たちは取っていないのですが、
訪問の仕事は「疑われない環境を作ること」も仕事の一つなんです。
例えば、こんな場面もあります。
ベッドの横に封筒が置いてあり、中に現金が入っているのが見える。
テーブルの上に財布が出しっぱなし。
引き出しが開いていて、その中にお金が入っているのが見える。
こういうことは実際、訪問の現場ではよくあります。
そのときに施術者が何も言わずに施術を始めると、
後から「お金がない」という話になったときに状況がややこしくなります。
ですので、こういうときは一言だけでいいので声をかけると全然違います。
「ここにお財布がありますが大丈夫ですか?」
「気になるようでしたら、しまっていただいて大丈夫ですよ。」
この一言だけでも、患者さんの意識は変わります。
患者さんも
「あ、そうだ。しまっておこう」
となることも多いですし、
こちらとしても
きちんと配慮している姿勢を見せることができます。
また、もしお金の話が出たときは、慌てないことも大切です。
「お金がない」
と言われると、どうしてもドキッとします。
でもそんなときこそ落ち着いて、
「最後に確認されたのはいつですか?」
「どこに入れていたかわかりますか?」
「もしかしたら別の場所に移されているかもしれませんね」
という形で一緒に確認していきます。
そして必要であれば、事業所にもきちんと報告する。
訪問の現場では、
・患者さんとの信頼関係
・事業所の信用
・施術者自身を守ること
この3つを守ることがとても大切です。
訪問鍼灸や訪問マッサージの仕事は、患者さんのご自宅に入る仕事です。
だからこそ技術だけではなく、
こうした細かい配慮や意識が信頼につながっていきます。
ほんの一言の声かけや、少しの気配りでトラブルは防げることも多いので、
ぜひ日々の訪問の中で少し意識してみてください。