こんにちは、黒羽です。
今日は、
柔道整復師の整骨院と、鍼灸マッサージ師の訪問鍼灸マッサージにおける「償還払い」の違いについて、少し整理して書いてみたいと思います。
最近、柔整の先生方から
「償還払い注意喚起通知が届いた」
「患者さんに黄色い紙が来て、どう説明していいか分からない」
という相談を受けることが増えています。
一方で、訪問マッサージをやっている先生の中には、
「同じ療養費制度なのに、なぜ柔整だけこんなに厳しいのか?」
と疑問を持っている方も多いと思います。
まず前提として、柔整も訪問マッサージも「療養費制度」という同じ枠組みの中にあります。
ただし、その運用のされ方とリスク構造は、実務上かなり違います。
柔整の「償還払い注意喚起通知」とは
柔道整復療養費は、原則として「受領委任払い」です。
患者さんは自己負担分(1〜3割)だけを支払い、残りは施術者が保険者に請求します。
ただし、一定の事例に該当すると、
保険者の判断でこの受領委任が停止され、
「患者がいったん全額を支払ってから、自分で請求する償還払い」に切り替えられる仕組みがあります。
その手前の段階として送られてくるのが、
「償還払い注意喚起通知」です。
これは簡単に言うと、
「このままの請求・運用が続くなら、次は償還払いに切り替えますよ」
という事前警告の位置づけです。
注意喚起の対象になりやすい典型例
柔整の場合、特に次のようなケースが問題になりやすいとされています。
・施術者本人が自分に保険施術をしている(自己施術)
・家族や従業員に対して、慢性的な症状を外傷名で長期間請求している
・患者照会(保険者からの質問票)に繰り返し応じない
・同じ部位で複数の整骨院に同時通院している
・長期間かつ頻回な施術が続いている
これらは、患者本人に悪意がなくても、
「制度上不適切」と判断されやすいポイントです。
注意喚起が出たあとも是正が見られない場合、
実際に受領委任が停止され、
患者さんが全額立て替えになる可能性が出てきます。
そうなると、通院継続が難しくなり、
結果として患者離脱や売上減につながりやすくなります。
訪問鍼灸マッサージの場合はどうか
同じ療養費制度でも、訪問マッサージ(あはき)は、
償還払いに切り替えられる対象がかなり限定的です。
典型的には、
「2年以上継続」
かつ
「直近2年で月16回以上の施術が5か月以上」
といった、かなり極端なケースが想定されています。
また、訪問マッサージは、
・主治医の同意書に基づいて行われる
・対象が要介護高齢者や重度・慢性疾患の方
・目的が「改善」ではなく「維持・悪化防止」である
という前提があり、
柔整で問題になりやすい
・自己施術
・家族・従業員への自家施術
・同部位の重複通院
といった構造的なリスクが、そもそも起こりにくくなっています。
そのため、
ルールを守って運営している訪問マッサージ事業所であれば、
償還払いへ変更されるリスクは相対的に低い
というのが実務上の実感です。
この違いをどう捉えるか
これは「どちらが良い・悪い」という話ではありません。
柔整は柔整で、
急性外傷を中心に地域医療を支える重要な役割があります。
一方で、制度の設計上、
柔整は「自己・自家・重複・頻回」といった点が
より厳しくチェックされやすい構造になっているのも事実です。
訪問マッサージは、
医師の同意と多職種連携を前提にした枠組みの中で、
比較的「制度と噛み合った運営」をしやすい側面があります。
だからこそ、
・自分が今どの制度の上で仕事をしているのか
・どこがリスクになりやすいのか
・何を気をつければ安心して続けられるのか
このあたりを感覚ではなく、仕組みとして理解しておくことが大切だと思います。
制度は知らない人に優しくありません。
でも、知っている人にとっては、
過度に怖がる必要もないものです。
今日は、
柔整と訪問マッサージの「償還払い」を整理する回でした。
また現場でよくあるテーマを、
少しずつ言葉にしていきます。