こんにちは、黒羽です。
訪問鍼灸・訪問マッサージを始めたばかりの方や、
始めてしばらく経った方から、こんな声をよく聞きます。
「技術に自信が持てない」
「このやり方で合っているのか分からない」
「勉強してきたのに、現場では全然使えない気がする」
でも、最初にお伝えしておきたいのは、
それはあなたの“手技が足りない”からではないということです。
訪問施術の技術的な悩みは、
高齢・重度の在宅患者さんを相手にするがゆえの
構造的な問題がとても大きいんです。
■ 学んだ技術が現場で使えない違和感
学校やセミナーで、たくさんの手技を学びますよね。
ところが実際の訪問現場では、
対象は高齢者、しかも
・寝たきり
・関節拘縮
・麻痺
・骨粗鬆症
・心疾患や服薬リスク
こうした条件を抱えた方が中心です。
結果として、
強い刺激
大きなストレッチ
ダイナミックな矯正
こういった技術は、安全面を考えると使えません。
「こんなに勉強したのに、
実際に使うのは地味な手技ばかり…」
このギャップに悩む人は、本当に多いです。
■ 何を“自分の武器”にすればいいのか分からない
筋膜リリース、トリガーポイント、PNF、運動療法…。
学べば学ぶほど、手技の名前だけが増えていきます。
その一方で、在宅高齢者に求められるのは、
・拘縮の進行を防ぐ
・関節可動域を保つ
・寝返りや立ち上がりを少しでも楽にする
派手さはないけれど、
ベーシックで再現性の高い技術です。
それでも、
「もっと高度なことをしないとプロっぽくないのでは」
という焦りと、
「利用者さんにはそこまで必要ないのでは」
という現実の間で揺れてしまいます。
■ 高齢者の身体に“どこまでやっていいか”が怖い
若い人なら問題ない刺激でも、
高齢者では
・骨折
・皮下出血
・疲労や体調悪化
につながるリスクがあります。
「効かせたい自分」と
「安全第一でいきたい自分」
この間で葛藤し、
結果的に
「無難すぎる施術になっているのでは」
と不安になる人も少なくありません。
■ 劇的な変化が出ないから、手応えが薄い
訪問施術のゴールは、多くの場合
・悪化防止
・維持
・小さな改善
です。
1回で劇的に変わることは、ほとんどありません。
だからこそ、
「この技術、本当に効いているのか?」
「良し悪しをどう判断すればいいのか?」
という悩みが生まれます。
■ 評価とゴール設定が難しすぎる
スポーツや急性期なら、
分かりやすいゴールがあります。
でも在宅高齢者では、
・立ち上がり介助が少し楽になった
・夜中の痛みで起きる回数が減った
・褥瘡が新しくできていない
こうした生活レベルの変化で評価する必要があります。
ところが、
これを学校やセミナーで
具体的に教わる機会はほとんどありません。
■ リハ職との役割の線引きに迷う
訪問現場には、
理学療法士や作業療法士も入っていることが多いです。
「どこまで運動していいのか」
「自分はマッサージだけでいいのか」
誰も明確に教えてくれない中で、
自分なりに線引きを探すしかありません。
■ 時間が短く、技術を詰め込みたくなる
1件20〜30分の中で、
・評価
・施術
・動作確認
・説明
全部やらなければいけない。
だから
「覚えた技術を全部使おう」とすると時間が足りず、
逆に絞ると
「こんなシンプルでいいのか?」
と不安になる。
このジレンマも、訪問ならではです。
■ 勉強しても“在宅向け”に落とせない
セミナーや本は、
若年層・スポーツ・整体向けが多く、
在宅高齢者向けの情報は少ない。
そのまま使えない。
アレンジも難しい。
結果、
「勉強すればするほど、自分の現場に合わない」
と感じてしまう人もいます。
■ 技術を客観的に測る物差しがない
一人院や小規模事業所では、
誰かに技術を確認してもらう機会がほとんどありません。
SNSや動画と比べて、
「自分はまだ半人前なのでは」
という感覚から抜け出せない。
でもそれは、
比較対象が違いすぎるだけです。
■ まとめ
訪問施術の技術的な悩みは、
・対象が高齢・重度
・環境が在宅
・時間と役割が限られている
この条件が重なって生まれています。
だから、
悩むのは当たり前です。
自分を責める必要はありません。
在宅専門の技術は、
派手さではなく、
安全性・再現性・継続性で評価されるもの。
少しずつ、
在宅に合った形を積み上げていけば大丈夫です。