こんにちは、黒羽です。
訪問鍼灸・訪問マッサージを続けていると、
ふとこんな感覚になることはありませんか?
「なんだか、ずっと試されている気がする」
「技術だけじゃなく、説明や会話まで評価されている感じがする」
これ、あなただけではありません。
むしろ、真面目にやっている人ほど感じやすい悩みです。
■ 在宅は「施術+会話+説明」がセット
訪問の現場では、
施術をするだけで終わりません。
・施術の腕
・雑談や傾聴
・今日の状態の説明
・今後の見通し
・生活上のアドバイス
気づけば、
「治療家」と「カウンセラー」を同時にやっているような感覚になります。
さらに、
家族やケアマネが同席している場面も多く、
「専門職として見られている」
という意識が、常に頭のどこかにある。
これが、
緊張が抜けない原因の一つです。
■ 効果が見えにくいから、説明の重みが増す
高齢者や慢性疾患の方では、
ゴールが「改善」ではなく
「維持」「悪化防止」になることが多い。
でも、
維持は目に見えにくい。
だからこそ、
説明がうまくできないと、
「効いているのか分からない」
「続ける意味があるのか不安」
と言われやすくなります。
その瞬間、
「説明が下手=自分の施術価値が低い」
と感じてしまい、
技術だけでなく、人間力まで否定されたような気持ちになる。
これ、かなりしんどいです。
■ 医療者は“説明の訓練”を受けていない
実は、
医療職全体で見ても、
「どう質問するか」
「どう伝えるか」
このトレーニングを受けてきた人は多くありません。
それなのに、
現場ではいきなり
「説明力」「コミュニケーション力」
を求められる。
その結果、
「会話が得意な人だけが向いている仕事なのでは」
と思い込んでしまい、
燃え尽きてしまう人もいます。
■ 現場でよくあるジレンマ
施術にはそれなりに自信があるのに、
「どこまで説明すればいいか分からない」
「専門用語を避けると、薄っぺらく感じないか不安」
こんな葛藤で、
会話のたびに消耗する。
家族から、
「リハビリと何が違うんですか?」
「何回くらいで良くなりますか?」
「本当に続けたほうがいいんですか?」
と聞かれ、
即答できない自分に落ち込む。
さらに、
「前の先生はもっと詳しく説明してくれた」
「理学療法士さんはこう言っていた」
この一言が、
ずっと頭に残ってしまう。
■ 技術不安の正体は「基準が分からないこと」
多くの場合、
不安の正体は
技術そのものではありません。
・ゴールが曖昧
・どこまでできれば合格なのか分からない
・正解が流派ごとに違う
SNSや研修で色々見れば見るほど、
「自分のやり方は低レベルなのでは」
と感じやすくなります。
■ 説明力の不安も、構造の問題
訪問のたびに、
・今日の状態
・施術内容
・今後の見通し
をまとめて話す必要があるのに、
頭の中で整理しきれず、
その場の思いつきで話してしまう。
専門用語を噛み砕く作業にもエネルギーを使い、
「ちゃんと伝わっているか不安」で
必要以上に長く話してしまう。
これも、能力不足ではありません。
■ この悩みを軽くする視点
まず大事なのは、
技術も説明も“積み上げ型のスキル”だと割り切ること。
センスではありません。
トレーニングで伸びるものです。
「今の自分は仮のバージョン」
「1年後に少し良くなっていればOK」
そう考えるだけで、
自分を責める気持ちはかなり軽くなります。
■ 完璧さより、信頼感
訪問の現場では、
「何でも即答できる人」より
「ちゃんと聞いて、分からないことは調べてくれる人」
のほうが、
長期的に信頼されやすいです。
全部答えようとしなくていい。
全部背負わなくていい。
■ 最後に
訪問鍼灸・訪問マッサージは、
技術だけで評価される仕事ではありません。
でもそれは、
あなたがダメだからではなく、
仕事の構造そのものが難しいからです。
「常に試されている感覚」で苦しくなっているなら、
それは真剣に向き合っている証拠。
少しずつでいい。
積み上げていけば大丈夫です。