こんにちは、黒羽です。

今日は、訪問鍼灸・訪問マッサージをしていると、多くの先生が一度は悩む
「家族やケアマネの理解不足、そして業務外の要求」
についてお話しします。

これは本当に、声を大にして言いづらいテーマです。
でも、黙って我慢している人がとても多い。
だからこそ、今日はあえて言語化します。


■ よくある“困ったお願い”

訪問の現場では、こんなことありませんか?

・施術前後に
「ついでにオムツ替えてもらえます?」
・失禁しているのを見て
「ちょっと拭いてもらえます?」
・排便が出て
「今出ちゃったので処理してからやってください」

悪意があるわけじゃない。
家族も必死だし、ケアマネも現場を全部見ているわけじゃない。

でも正直、
それは僕たちの業務ではありません。


■ なぜ、こういう要求が出てくるのか

理由は大きく3つあります。

1つ目は、
訪問施術者の業務範囲が分かりにくいこと。

「家に来てくれる人=何でもやってくれる人」
こう思われてしまいやすい。

2つ目は、
善意でやってしまった過去の積み重ね。

一度でも対応すると、
「あ、ここまでお願いしていいんだ」
と認識されてしまいます。

3つ目は、
介護職・看護職との違いが混同されていること。

特に家族は、
「誰が何の専門職か」を整理できていません。


■ 一番しんどいのは、断りづらさ

この問題で一番しんどいのは、
「断ると冷たい人だと思われそう」
「今後の関係が悪くなりそう」
という不安です。

だから、
・本当はやりたくない
・腰が痛い
・時間も押している

それでも、つい対応してしまう。

結果どうなるか。

自分だけが消耗していく。


■ 業務外対応がもたらす“見えないリスク”

実は、業務外の介助をすることには、
かなり大きなリスクがあります。

・転倒や事故が起きたとき、責任の所在が曖昧になる
・保険上、説明できない行為になる
・「あの人はやってくれたのに」と他職種トラブルになる

善意でやったことが、
後で自分を守ってくれないケースも少なくありません。


■ 線引きは「冷たさ」ではなく「専門性」

ここで大事なのは、考え方です。

断ること=冷たいこと
ではありません。

専門職としての役割を守ることです。

例えば、こんな言い方で十分です。

「申し訳ありませんが、失禁や排便の処理は介護職の業務になります」
「安全面の観点から、施術以外の介助は対応できない決まりになっています」

感情を乗せず、
淡々と“役割の違い”を伝えるだけでOKです。


■ ケアマネには早めに共有する

業務外の要求が続く場合、
必ずケアマネに共有してください。

・どんな要求があったか
・なぜ対応できないか
・今後どうしたいか

ここを曖昧にすると、
施術者だけが我慢する構図になります。

ケアマネも、
「言われないと分からない」
というケースが本当に多いです。


■ 自分を守らないと、長く続かない

訪問の仕事は、
技術よりも
人との距離感で消耗することが多い仕事です。

・何でも引き受ける
・嫌われないように我慢する
・線引きをしない

これを続けると、
いずれ確実に心か体が先に折れます。


■ まとめ

・失禁処理や排便補助は、本来業務外
・善意でやるほど、要求はエスカレートする
・断ることは冷たさではなく専門性
・ケアマネへの共有は必須
・自分を守れない施術者は、長く続けられない

訪問鍼灸・訪問マッサージは、
人を支える大切な仕事です。

だからこそ、
自分自身をすり減らしてまでやる仕事ではありません。

線引きをすることは、
あなたが悪いわけでも、逃げているわけでもありません。

それは、
プロとして働き続けるための、当たり前の判断です。