こんにちは、黒羽です。

今日は、訪問鍼灸・訪問マッサージをやっている先生なら、ほぼ全員が一度は感じたことがあるであろう
「移動ばかりで、わりに売上が伸びないストレス」
について、かなり現実的な話をしていきます。

自宅や高齢者施設などを一軒ずつ回るのが訪問の仕事。
そのため、1日に何度も車や自転車で移動を繰り返すことになります。

この移動距離が長くなると、
・施術そのものより移動のほうが疲れる
・時間だけがどんどん溶けていく
・件数が思ったほど入らない

こういった状態になりやすく、
「忙しいのに、なぜか売上が伸びない」
という感覚にハマってしまう人が本当に多いです。

■ 駐車場問題が地味にメンタルを削る

訪問するたびに、
・駐車スペースの有無を確認
・コインパーキングを探す
・満車でグルグル回る

こういう作業をしていると、それだけで5〜10分普通に持っていかれます。

都市部では特に、
「駐車場が見つからず、次の訪問に遅れそう」
という焦りが、かなりの精神的ストレスになります。

遅れたら、
患者さん
家族
施設
すべてに気を遣わないといけない。
これ、地味に一番神経がすり減るポイントです。

■ 住宅・施設の構造による“見えない負担”

訪問先の環境は、本当に千差万別です。

エレベーターのない集合住宅
狭い室内
段差だらけの玄関
ベッドが置けない間取り

施術器具を持って階段を何往復もすれば、腰や膝に確実にダメージが蓄積します。

「今日は移動と階段だけで、もう疲れた…」
こんな日、ありませんか。

限られたスペースで無理な姿勢のまま施術を続けることで、
・腰
・首
・手首
に負担が蓄積し、気付いたときには自分が壊れかけている。
訪問あるあるです。

■ ストレスが積み上がる本当の理由

訪問のしんどさは、
・移動時間の長さ
・物理的な環境対応
・想定外のトラブルへの都度対応

これらが毎日セットで重なることです。

これが1週間、1か月、半年と続くと、
体も心も、気付かないうちにすり減っていきます。

ここからは、
このストレスを減らすための現実的な対策をお伝えします。

■ ① 移動時間を減らす工夫

まず一番効果が大きいのが エリア・曜日制 です。

同じ地域の利用者さんは、
・月曜はこのエリア
・火曜はこのエリア
というように、曜日でまとめるだけで移動時間は一気に短縮できます。

さらに、
Googleマップなどでルートを事前に保存し、
渋滞・距離・信号の多さまで考慮して組み直すだけで、
1日の移動時間が30〜60分減ることも普通にあります。

自宅からあまりに遠いエリアは、
思い切って「対応外」と割り切るのも立派な経営判断です。

■ ② 駐車・環境情報を「資産化」する

・駐車場所
・建物の入り口
・エレベーターの有無
・部屋までの動線

これらは、必ずカルテや共有メモに残してください。

初回訪問時に、
「ベッドをどこに置くか」
「どの姿勢が一番やりやすいか」
を一緒に確認しておくだけで、次からのセッティング時間が激減します。

施設やマンション単位で情報を蓄積しておくと、
同じ建物の利用者が増えたときに、いきなり効率化が進みます。

■ ③「時間の割に売上が低い」を直す

1件あたりの
・施術時間
・移動時間
・待機時間
をすべて含めて、
1時間あたりいくらになっているかを必ず見える化してください。

これをやらないと、
「すごく遠いのに、なぜか受け続けている患者さん」
が増えて、どんどん首が絞まります。

同じ建物・同じ時間帯で
複数名まとめて施術できるよう、
ケアマネや施設に
「まとめて紹介」の提案をするだけで、
移動ゼロで件数が増やせるケースも多いです。

■ ④ 心身の負担を下げる働き方

・1日の件数には「無理のない上限」を設ける
・移動が多い日は意図的に件数を減らす
・荷物は最小限にする
・カートやリュックを使う

これだけでも体の消耗はかなり変わります。

また、
同業者と情報交換できる場を持つだけで、
「自分だけじゃないんだ」と気持ちがかなり軽くなります。

■ ⑤ 制度・ツールを味方につける

電子カルテやクラウド管理を使えば、
移動中の隙間時間に記録が終わり、
帰宅後の事務作業が激減します。

スケジュール管理アプリやリマインダーを使うことで、
ダブルブッキングや行き違いも防げます。

「非効率な動きは見直す」
この方針を持つだけで、
長期的な疲弊はかなり防げます。

■ 最後に

訪問施術は、
「移動」と「環境対応」も含めて仕事です。

施術だけ頑張っても、
移動効率と環境対策が悪いままだと、
体と心が先に壊れます。

もし今、
「なんか最近しんどいな」
「動いてるわりに楽にならないな」
と感じているなら、

それはあなたの根性不足ではありません。
働き方の構造そのものが、限界に近づいているサインです。

一度、
「移動」「件数」「単価」「疲労」
これを冷静に見直すだけで、仕事はかなりラクになります。