こんにちは、黒羽です。
訪問鍼灸マッサージを施設で行う際、患者さんが車椅子に乗っている場合に必ず出てくるのが「移乗」をどうするか、という問題です。
ベッドへ移ってもらうときに、施術者が手を貸すべきか、それとも職員さんを呼んでお願いすべきか…。これは多くの先生方が一度は悩むポイントではないでしょうか。
■ 基本的な考え方
転倒リスクがない方
比較的自立度が高く、ご自身で移乗できる場合は、施術者が見守りながら誘導する程度なら問題ありません。転倒リスクが高い方や特殊なケース
バランスを崩しやすい方、体重が重くて支えきれない方、認知症が進んでいる方などは、必ず職員さんを呼んで移乗してもらう方が無難です。
■ その理由
施設内で一対一の場面で転倒事故が起きた場合、責任は誰にあるのか?
多くの場合、施術者に責任がかかってくるのです。
「治療のプロだから」「リハビリの延長だから」と善意で介助しても、万一転倒して骨折でもすれば、
施設側からの責任追及
家族からのクレーム
保険者からの指摘
こうしたトラブルに発展しかねません。
つまり、介助動作は“治療の範囲外”と割り切ることも、施術者を守る大切な判断なのです。
■ 実際の現場の工夫
ある先生は、移乗のたびに「◯◯さん、ベッドに移る時は職員さんにお願いしましょうね」と声をかけています。
こうすることで患者さん自身も「移乗は職員がやるもの」と意識でき、職員さんとの連携もスムーズになったそうです。
また、職員さんに一言「今日はお願いします」と頼むだけでも、施設側との関係性はぐっと良くなります。
■ まとめ
自立度の高い方 → 施術者は見守り程度でOK
転倒リスクのある方・特殊ケース → 必ず職員さんに依頼
「安全第一」の姿勢を徹底することが、自分と患者さんを守る一番の方法
👉 治療のプロだからといって、介助まで無理に抱え込む必要はありません。
施術者として一番大事なのは「安全に施術を提供すること」。そのためにも、常に最もリスクの少ない選択を心がけていきましょう。