こんにちは、黒羽です。

先日、ケアマネジャーさんからこんな質問をいただきました。

「訪問マッサージや訪問鍼灸の対象になる“歩行困難”って、具体的にどこからどこまでを指すんですか?」

実はこれ、現場でもよく議論になるテーマなんです。
寝たきりや車いすの方はイメージしやすいですが、杖を使えば歩ける、デイには送迎付きで通えている、そんなケースになると「対象に入るのか?」と迷う人も多いんですよね。


■ 厚労省が示す往療費の原則

大前提として、往療費はこういう場合に認められています。

「歩行困難や安静を要するなど、やむを得ない事情で通院ができない場合」

つまり、通所や通院が普通にできる人はNG。
逆に言えば「外出が極めて制限されている」状態であれば対象になる、というのが基本です。


■ よくあるケースと考え方

  • 寝たきり・要介護5 → ◎(対象)

  • 車いす利用 → ◎(対象)

  • 杖歩行で転倒リスクが高い → ○(状況による)

  • デイサービスには送迎で通えているが、それ以外は外出できない → ○(判断次第)

  • 変形性膝関節症で痛みが強く歩行困難 → ○(多くは対象)

  • 歩行器で何とか移動可能 → ○(△)

  • 自力で歩けるが認知症で一人外出は危険 → ○(状況次第)

  • 単純に治療院が遠いから来てほしい → ×(対象外)

こう並べてみると分かるのですが、白黒はっきりしていないグレーゾーンが多いんです。


■ 判断基準は「安全に一人で外出できるか?」

現場で僕がよく目安にしているのは、

👉「歩行補助具を使ってでも、一人で安全に外出できるかどうか?」

ここがひとつの大きな線引きになります。

ただし、往療費の判断は最終的に保険者ごとの解釈に左右されるのが現実です。
特に過去に不正請求があった地域では、審査がかなり厳しくなり、
「家族が介助できれば不可」「移動しても悪化しなければ不可」など条件が強化されることもあります。


■ 現場で心がけたいこと

  • 「これは対象かな?」と迷ったら 安易に往療費を請求しない

  • 必ず医師の同意書の内容と照らし合わせる

  • 患者さんの生活状況を細かく把握し、必要なら記録に残す

  • 最終的には「自分のモラル」に照らして判断する


■ まとめ

往療費の対象となる「歩行困難」の範囲には明確な線引きはなく、現場ごとの判断に委ねられている部分が多いです。

だからこそ大切なのは、

  • 「本当に通院困難か?」という視点

  • 「一人で外出が安全にできるか?」という基準

  • 「保険者ごとのルール」をしっかり把握すること

この3つを意識しておくことだと思います。


👉 あなたなら、このケースは対象にする?それとも見送る?
ぜひ一度、自分なりの基準を考えてみてください。