こんにちは、黒羽です。

訪問施術をしていると、
ときどきこんな場面に出くわしませんか?

「ちょっとお茶でも飲んでってくださいな」
「せっかくだから、お菓子もどうぞ」

ご家族様が気を遣って出してくださるお茶やお菓子。
さらには、いろんな話を楽しみにしてくださっている…。

ありがたいことですし、
無下に断るのも失礼かな…と、悩む方も多いんですよね。

でも、ここで悩ましいのが――
「このまま毎回付き合っていていいのか?」
「一線をどこで引くべきなのか?」という問題です。

■大切なのは「気持ちには感謝、行動はプロとして」

こういうときに意識したいのは、

「気持ちはありがたく受け取りつつ、
 プロとしての距離感を保つ」というスタンスです。

実際、訪問看護や介護の現場では
「お気持ちだけ、ありがたく頂戴します」と
丁寧に断るのが基本マナーになっています。

■断り文句の正解は?

たとえば、こんなふうに伝えるとスムーズです。


「ありがとうございます。
とても嬉しいですが、
このあとも訪問が入っておりまして…
お気持ちだけ頂戴しますね。」


この一言で、十分伝わります。

ポイントは、“予定がある”という外的な理由を添えること。
「今ちょっと忙しくて…」ではなく、
「仕事の都合で…」とプロ意識をにじませる方が、
相手も納得しやすいんです。

■なぜ断るべきなのか?

ここ、ちょっと意外と見落とされがちなのですが…
何気ない会話やお茶の時間でも、
それが“前例”になってしまうことがあるんです。

「あの先生はいつも話してくれる」
「あの人にはお茶を出すと少し休んでいってくれる」

こう思われると、次回以降の期待値が上がり、
断りづらくなるんですね。

また、長居すればするほど、
「あの先生、いつも長くいるよね」と
他のご家族や近隣にも誤解を与える
リスクもあります。

■とはいえ“心の交流”は大事に

ただし、すべてを機械的に断るのではなく、
「少し立ち話程度で気持ちに寄り添う」という姿勢は大切です。

特に、独居高齢者や介護をされているご家族は
「話す相手がいない」ケースも多いです。

そんなときは、数分でも顔を見て話をすることで
心のケアにつながります。

あくまで主軸は“施術と訪問時間”ですが、
人としてのやさしさは忘れずにいたいですね。


【まとめ】

・お茶やお菓子の提供は「お気持ちだけ」で丁寧に断る
・「この後の訪問があるので」と、外的要因を理由にする
・断らず続けると、次回以降の期待が生まれて断りづらくなる
・ただし、短時間の雑談で心の交流は大事に
・あくまで「プロとしての距離感」を保つことが信頼につながる

あなたが患者さんやご家族と接するその一瞬が、
“プロとしての信頼を積み上げる”時間です。

施術だけでなく、接し方一つで
「あの人に来てほしい」と思ってもらえるかどうかが決まります。

信頼は、こういう小さな積み重ねで育っていきますよ。