こんにちは、黒羽です。
今回は、とある治療家向けのサイトを見て感じた
「これは現実的じゃない」「ぼったくり的構造だ」という疑問について、
冷静に、そして論理的に解説していきます。
① 数字から見て「現実離れ」している
このサイトの主張は次の通りです。
年商1億円、週休3日制、1日3人施術、新規お断り
まず、誰でも考えるべきは「その条件で1億円をどう作るのか?」という計算のロジックです。
週休3日→週4日稼働
1日3人→週12人
年間稼働は約208日(52週×4日)
208日×3人=年間624施術
つまり、たった624回の施術で1億円を売り上げるということ。
1億円÷624回=1施術あたり約160,000円
➤ なぜこれは現実的でないのか?
1回16万円というのは、一般的な治療院の20~40倍の価格です。
保険適用の施術や、60分7000円の施術であれば到底届きません。
つまり、通常の施術家がこの数字を目指すには…
・極端な高額商品(例:年間パッケージ100万円超)
・物販(サプリ、寝具、枕、健康機器など)
・講座ビジネス(オンライン講座や会員制)
などをセットにして売る必要があり、これはすでに「施術」ではなく
コンサル型の情報ビジネス・物販業と見たほうが正確です。
② 「高単価=ぼったくり」ではないが…内容と釣り合っていないとアウト
「高いから悪い」という単純な話ではありません。
しかし、患者にとって納得できる医学的根拠・再現性・安全性が伴っていない場合、
それは高額療法商法(いわば“情弱ビジネス”)として見られるのも当然です。
このLPでは以下のような例が挙げられています。
唾液チェック
自作の岩盤浴マシン
即効性のあるサプリ
ドライヤーの使い方指導
これらは「ユニークな提案」ではあるものの、
医療的な評価や科学的根拠に基づいているかどうかは一切説明がない。
つまり、
「実績のある〇〇さんがやってるから」→「だからあなたもやりなさい」
という、いわゆる権威依存型のロジックで売っているのです。
③ 「LTVを上げればいい」は、その通り…でも手法がズレている
顧客単価(LTV)を上げる考え方自体は正しいです。
しかし、それを「施術家の本業」から逸脱してまで高額化するのは問題です。
・治療より物販がメインになっている
・患者の不安や無知に訴えて高額商品を売る
・「再現性」や「科学的説明」より「雰囲気・体験」だけで誘導する
これらはまさに、スピリチュアル商法・高額スクールと構造が似ているんです。
④ 「夢のような事例」は、本当に多数の治療家が再現できるのか?
「新規ゼロで予約半年待ち」「週休3日で年商1億」など、
華やかな事例が並んでいますが…
その施術家が何年かけて築いたか
どれほどの投資と失敗を経たのか
それを真似した人の平均成果は?
これらが一切書かれていない。
つまり、「ベストケースだけを切り抜いてアピール」している状態であり、
一般治療家が再現できる保証は一切ありません。
⑤ 「患者を選ぶ」「新規お断り」の美学は、裏返せば“選民思想”
「新規は断ってます」
「予約は数ヶ月待ちです」
「誰でも診るわけじゃありません」
こういった言葉を使うのは、
一見ブランディングに見えますが、実は“あなたのような一般人はお断り”という排他的態度にもなりかねません。
これによって、一部の人は憧れを抱きますが、
多くの人は「高慢な治療家」「勘違いしている」と感じて離れていきます。
✅ 結論:このモデルは、施術家の“夢”を餌にした情報商材ビジネスに近い
このLPは、
・魅力的な成功例
・刺激的な数字
・簡単に変われそうな仕組み
を使って、「今のやり方に不安がある施術家」を引き込む構造になっています。
しかし、そこで提案されているのは、
医療的根拠のあいまいな高額商品
特殊な一部の成功者の事例
一般施術家には再現が困難なビジネスモデル
であり、冷静に見れば、実体の薄い“希望商売”の可能性が高いといえます。
🔻黒羽の視点(まとめ)
・数字の辻褄が合わず、再現性がほとんどない
・患者側から見れば「高額で不安」「宗教っぽい」と感じる可能性大
・治療家の不安を利用して、高額コンテンツや商品を売る構造に近い
・「稼げていない今のあなたが悪い」という自己責任論に誘導しやすい
・患者の健康よりも、「売上を最大化する手法」が主役になっている
このようなモデルに振り回されず、地に足のついた「信頼×継続」をベースにしたLTVアップ戦略を選ぶべきです。
本当に患者さんと長く向き合いたいなら、「売上ありき」ではなく「納得と感謝が続く設計」こそが王道です。