こんにちは、黒羽です。
今日は、ある治療家の先生から相談を受けた“実話”を、
少しだけシェアさせていただきます。
「無料体験の訪問に向かっていたんですが、
途中で渋滞に巻き込まれてしまって…。
予定より10分遅れてしまったことで、
患者さんから“今後は結構です”と言われました…」
しかも、それだけではありません。
この患者さんをご紹介くださったケアマネさんからも
「ちょっと信頼できないかも」と言われてしまったのです。
実は、この出来事には“2つの落とし穴”がありました。
まずひとつめ。
この先生、渋滞にはまってしまい、
「5分ほど遅れます」と事前に電話したそうです。
ところが実際には10分以上の遅刻。
つまり、1回謝ったのに、
さらにもう1回裏切ったような形になってしまったわけですね。
そして、ふたつめの落とし穴。
到着した際に、こんなふうに言ってしまったのです。
「○○道路で事故があって…その影響で…」
この言葉が、逆効果でした。
なぜなら、患者さんにとっては
「言い訳」にしか聞こえないからです。
もちろん先生に悪気はありませんし、
本当に事故があって、道が混んでいたのも事実です。
でも、患者さんの心には届かないんですね。
この世界――訪問鍼灸マッサージの現場では、
「患者さんの時間をどう扱うか」が、
そのまま「信頼」に直結します。
たとえそれが自分にとって不可抗力であっても、
「道が混んでいたので…」は理由にならない。
むしろ、どんな理由があっても、
しっかり患者さんの目を見て、
「本日はお約束の時間に遅れてしまい、
本当に申し訳ありませんでした」
と明確に謝ること。
そして、できれば「10分ほど遅れます」と
少し多めに予告しておいて、
実際は5分で着くぐらいの心構えがベストです。
もうひとつ大事なのは、
謝罪の中で余計な情報を入れないこと。
遅れた理由を詳しく説明しようとすると、
相手は「言い訳を並べているな」と感じます。
患者さんが知りたいのは、
「あなたはこの遅れをどう受け止めているか」
それだけです。
このような小さなズレが、
結果として「信頼の消失」に繋がる。
訪問業界では、時間に対する誠実さ=信頼なんです。
だからこそ、
「謝る」「言い訳をしない」「誠意を示す」
この3つをセットで行動することが、
患者さんとの長い関係において、非常に大切になります。
最後にもう一度、整理します。
・遅れるなら、余裕を持った時間で連絡する
・理由は詳しく語らず、まず謝罪する
・謝るときは、言葉よりも態度(表情・声・姿勢)で伝える
患者さんの信頼は、
「一瞬」で失われ、「時間」をかけてしか取り戻せません。
だからこそ、最初の1回目の印象が勝負なんですね。
どうか、訪問という仕事の“信頼の重さ”を忘れず、
日々の移動と時間管理に、少しだけ余裕をもって臨んでください。
その5分が、あなたの人生を変えるかもしれません。