こんにちは、黒羽です。

今回は、訪問鍼灸マッサージを続けていく上で避けて通れない「同意書」の話です。

どれだけ良い施術をしても、保険が使えなければ患者さんは継続できませんし、あなたの施術の価値も届きません。

じゃあ、その「同意書」――どうやったら、確実に、医師に発行してもらえるのか?
メール?手紙?電話?…どれも手段としてはありますが、結論から言えば「直接会いに行く」。これが一番確実です。


医師だって“人”です。

想像してみてください。

ある日突然、まったく知らない人から「この患者さんに同意書書いてください」って手紙だけ届いたら、どう感じますか?

「この人は信頼できるのか?」「本当にちゃんと施術してくれるのか?」
そう思うのが当然です。

実際に僕も、ある医師に言われたことがあります。
「正直、どこの誰かも分からない人に、うちの患者を任せるのは不安です」って。

だからこそ、“顔を見せる”ことが重要なんです。


人間って、ほとんどの情報を“視覚”から得てます。

つまり、服装、髪型、表情、姿勢、声のトーン――
全部が“信用できるかどうか”の判断材料になるんです。

もしあなたがボロボロの白衣を着て、無精ヒゲに寝ぐせのまま医師に会いに行ったら…
それだけで「この人には任せられないな」と思われてしまいますよね。

だから、まずは見た目を整えること
次に、誠意を持って話すこと
最後に、自分の情熱を伝えること

これが基本中の基本です。


じゃあ、実際にどんなふうに話せばいいのか?

僕がよくやっていた流れはこんな感じです。

  1. まずは患者さんに「依頼状」と「同意書の原本」「サンプル」をセットで渡してもらう
    (返信用封筒も一緒に)

  2. もし書いてもらえなかったら、自分が直接病院に出向く
    「突然伺って申し訳ありません」と頭を下げて、
    「○○さんが今とても痛みで困っていて、どうしても施術をしてあげたいんです」と伝える。

  3. 言葉に詰まっても、自分の言葉で伝えること
    大事なのは、“うまく話すこと”じゃなく、“思いを見せること”です。

  4. 「リハビリ」や「施術」といった言葉に置き換えることもあり
    「鍼灸」という言葉に警戒する先生もいます。
    その場合は「施術」「リハビリ」「身体のケア」と表現を変えるだけでスッと通ることもあります。


実際、ある整形外科の先生は最初、「うちは書かない方針なんで」と断ってきました。

でも僕は一度だけ直接会いに行きました。

そのとき持参したのは、「経過報告のサンプル」と「患者さんの今の様子をまとめた簡単なレポート」、そして小さな和菓子の詰め合わせ。

「一度だけで結構です。改善が見られたら更新をお願いしたいんです」

と話したところ、なんとその場で同意書を書いてくださったんです。


そして、信頼を築いた後はそれで終わりじゃありません。

感謝の気持ちを示すことも大切です。

・高級な便箋で手書きのお礼状を書く
・施術経過を定期的に報告する(報告書をフォーマットで準備しておくと◎)
・「更新のお願い」も丁寧に、そして真面目に出す

こういった積み重ねが、「この先生は信頼できるな」と思われるキッカケになります。


医師も、あなたも、患者さんも――結局は人と人の信頼関係なんです。

うまい文章よりも、きれいなテンプレートよりも、
“誠意を持って、堂々と話す姿”こそが一番伝わる手段です。

話し方に不安がある人は、家族や友人にシミュレーションしてもらってください。
Q&A形式で練習しておくと、スムーズに受け答えができるようになります。

もし、どうしても書いてくれない先生なら――それはそれでいいんです。

「書かない方針です」と言われたら、
「ご多忙の中、こうしたお願いをしてしまい申し訳ありませんでした」と丁寧にお辞儀して引き下がればOK。

別の先生にお願いする、患者さんが別の病院にかかっているならそちらに頼む。
それでも無理なら、新しい医師を探して電話で聞いてみればいいんです。

「こういう患者さんがいて、こういう思いで施術したいんです」
その熱意に、きっと心を動かされる先生はいますから。


同意書は交渉ではなく、“信頼の証”です。
あなたの思いが伝われば、きっと道は開けます。

どうか諦めず、情熱を持って――
患者さんのために、医師との信頼を築いてくださいね。