こんにちは、黒羽です。
施術後の満足した空気の中、
患者さんからふと、こんな言葉が出ることがあります。
「先生、ちょっと安くなりません?」
「知り合いだから、少しサービスしてよ」
「前に行ってたとこは、もっと安かったけど…」
――これ、地味に心にくるんですよね。
値段の話って、言われるとモヤッとするし、
断れば嫌われるんじゃないかって不安にもなる。
でも、ここでどう返すかが“経営者としての器”の見せどころです。
値段交渉は「あなたが悪い」から起きるわけじゃない
まず知っておいてほしいのは、
値引き交渉をされること=自分の価値が低いわけじゃないということ。
実際に言ってくる患者さんの心理は、
「安くなればラッキー」くらいの軽い気持ちの人が大半です。
その一言でイライラしたり、
「自分は価値がないのか…」と落ち込むのは、もったいない。
むしろ、相手にどう線を引けるかを試されていると考えてください。
値下げに応じない理由は、“理屈”ではなく“共感”で伝える
「うちはこれが適正価格です」とか
「他と比べないでください」といった正論で返すと、
相手の反発を招きます。
ポイントは、感情を受け止めつつ、共感しながら丁寧にお断りすること。
たとえば――
「お気持ちはすごくわかります」
「私も何かを受けるとき、そう思うことはあります」
「でも、この料金には施術だけじゃなくて、移動・準備・時間・技術すべて含まれてるんです」
と、“一緒の目線”で話してから、理由を説明する。
これだけで、相手の受け取り方は全然違ってきます。
値引きを受け入れると、信頼を失うこともある
優しさや気まずさから「じゃあ、今回だけ…」と値引きしてしまうと、
実は信頼より“軽視”が生まれることもあるんです。
・この人は言えば値段下げてくれる
・他の人にも言えばいいかも
・お金より人間関係で動く人なんだ
そう思われてしまうと、
施術者としての“ポジション”がブレていきます。
サービス業だけど、「なんでも受け入れる人」になってはいけない。
だからこそ、「断るけど、嫌な感じにならない」スキルが大切なんです。
「値引きしないけど、感じがいい」断り方の実例
現場で使える言い回しをいくつかご紹介します。
◆「すごくありがたいお言葉ですが、他の方とも同じ条件でやらせていただいてまして」
◆「一律でお願いしてるぶん、技術と対応には手を抜いていません」
◆「今後も安心して続けられるために、一定のルールを設けてるんです」
こうした“自分の中のポリシー”を丁寧に伝えることで、
価格の交渉は自然と収まっていきます。
そして、本当にあなたの価値をわかってくれる人は、
それでも通い続けてくれます。
まとめ
・値引き交渉は、あなたの価値が低いから起きているわけではない
・断るときは、感情ではなく共感から入る
・一度でも値引きすると、信頼や立場が揺らぐ
・「断り方」がその後の関係を左右する
・価格ではなく、“価値”で納得してもらうスタンスを持つことが大切
価格は、施術の価値そのものではなく、
“あなたの自信とスタンス”の表れでもあります。
堂々と、自分が提供している価値を信じてください。
値下げしないことで信頼を失う人は、
そもそも長く通う人ではありません。
本当に大切にすべき人と、ブレない関係を築いていきましょう。