今回は、読者の方からよくいただくご質問のひとつ、
「歩行は可能だけれども、知的障害などの理由で自力で医療機関に通えない場合、往療(訪問による施術)は可能なのか?」
という点についてお話しします。

◆ 結論:ケースバイケースですが、可能な場合も多いです。

往療が認められるかどうかは、国が一律に判断しているわけではなく、
実際の判断は「保険者(市町村や健康保険組合など)」に委ねられています。

さらに、保険者の中でも担当者によって見解が異なることもあります。
去年はOKだったのに、今年はNGというようなケースも普通にあります。

◆ どう判断されるか?

厚労省としての基準は一応ありますが、細かい条件や運用は現場任せな部分が多く、
「自力で医療機関に通えない方」が対象とされる中で、

杖や車いす、押し車が必要な方

介助者がいないと外出できない方

認知症や知的障害、視覚障害などで一人で通院するのが危険な方

などが、対象とされることがよくあります。

つまり、「歩けるかどうか」だけではなく、
「一人で安全に医療機関に通える状態かどうか」が大事なポイントになります。

◆ 往療を認めてもらうためにやるべきこと

1.まずは、保険者に電話で確認をとる。
→「このような方に対して、往療の加算や訪問が可能か?」と丁寧に確認しましょう。

2.医師の同意書に記載を工夫する。
→「その他の欄」などに、
「認知症のため一人での通院は困難」
「知的障害により自力での外出ができない」
といった情報を記載してもらうと、認められやすくなります。

3.申請書の適用欄に必要性を明記する。
→「上記疾患および症状により自力での通院が困難なため、往療が必要」といった記載が有効です。

このように、ただ施術を行って同意書を出すだけでは、後から「返戻」されてしまうこともあります。
一度行った施術が無駄にならないよう、事前に保険者へ確認するのが何よりも重要です。

◆ 最後に

高齢者の場合は、現在は歩けていても、認知機能の低下や視覚障害などが進むことで、
今後一人での通院が困難になるケースも多くあります。

ですので、状態の変化に応じてその都度、
・医師に同意書を書き直してもらう
・保険者に確認をとる
こういった対応を丁寧に行うことが、トラブルを防ぐ一番スマートな方法です。

訪問マッサージを安心して継続するために、ぜひ参考にしてみてください。