こんにちは、黒羽です。
今日は少し重たいテーマになりますが、大切な話をさせてください。
訪問鍼灸や訪問マッサージを続けていると、いつか必ず直面するのが――
「患者さんがお亡くなりになる」という現実です。
長く施術をさせていただいた方、毎週お伺いしていた方、
ご家族とも信頼関係を築けていた方…
そういった方との別れは、言葉にならないほど辛く、寂しいものです。
でも同時に、施術者として、どう対応すべきか?
「お葬式には行くべきか?」「香典はいくら包むのか?」
「全ての患者さんにそうするべきなのか?」――
悩む方も多いはずです。
そこで今回は、私自身の経験をもとに「対応の指針」となる考え方をお伝えします。
◆ すべての患者さんに葬儀参列・香典は必要なのか?
まず結論から言えば、一律ではなく、ケースバイケースで考えるというのが現実的な対応です。
たとえば、以下のようなケースでは、私自身は迷わず動きます。
・長年(3年〜10年以上)お付き合いがあった方
・ご家族とも親しく、お世話になった感謝が深い方
・医師や関係者など、施術所にとって特にご縁の深かった方
そういった方には、葬儀にも参列し、香典は「1万円」を包むことが多いです。
逆に、半年〜1年未満、まだ関係性が浅かった場合には、
「3,000円〜5,000円程度」を目安にしています。
自宅訪問されていた方であれば、ご自宅に弔問に伺ってお渡ししますが、
施設入居者だった方は、住所も分からずご家族も遠方のことがあり、
やむを得ず弔問が難しいこともあります。
ですので、「3千・5千・1万円」のラインで、
「どれだけお世話になったか?」をひとつの目安にするのがよいでしょう。
◆ 葬儀に行くときのマナーと“ひとこと”
参列する際には、言葉数は少なく、感謝を伝えるのが基本です。
例えとしては、こうです。
「〇〇治療院の〇〇と申します。〇〇様には長い間、訪問施術を通してお世話になりました。この度は本当にご愁傷様でした。」
このひとことで十分伝わります。
余計なことは言わず、
ただ「お世話になった感謝」だけを残す。
それが何より大切です。
※なお、葬儀の最中や直後に、申請書や集金の話を持ち出すのは避けましょう。
書類のやりとりは、1週間〜2週間ほど時間を空けてから郵送で丁寧にが基本です。
返信用封筒を同封しておけば、相手も負担に感じずに対応してくださいます。
◆ 最後に――「見送ること」は未来への種まきでもある
患者さんを見送るというのは、
私たちにとって「仕事の一区切り」ではありません。
それは“信頼の証”を丁寧に回収することでもあるのです。
その対応を見て、「ああ、〇〇先生は本当に信頼できる人だった」と
ご家族が感じてくだされば――
それは、次の紹介へとつながる“種”になるかもしれません。
もちろん、紹介が目的ではありませんが、
誠意を持って対応することは、長期的にはあなたの信頼の資産になります。
すべての患者さんに対応すべきとは思いません。
でも、「本当にお世話になった方」には、感謝を伝える形を選ぶ。
これが、施術者としての「最後の誠意」ではないでしょうか。
ぜひ、ご自身のスタンスに合った形で、
患者さんとの最後の時間に向き合ってみてください。