こんにちは、黒羽です。
今回は、訪問鍼灸や訪問マッサージで施術を始める前に、
意外と見落とされがちな“同意書の有効性”に関する注意点をお伝えします。
【同意書の効力はいつまで?】
まず前提として、
医師が発行した同意書には「有効期間」があります。
多くの場合、
・6ヵ月間(マッサージ)
・6ヵ月間(鍼灸)
という形で記載されていますよね。
この有効期間内であれば、原則として施術は可能です。
しかし、発行日と実際の初回施術日との間が1ヵ月以上空いてしまった場合には、注意が必要なんです。
【1ヵ月以上空くと、何が起きるのか?】
実は、保険者(国保・後期高齢など)から、状況確認が入るケースがあるんです。
どういうことかというと…
「この同意書、1ヵ月以上も施術開始されていないけど、
本当に必要な状態だったの?」
「初療までそんなに空いていた理由は?」
といった問い合わせが、施術者や医師に届くことがあります。
つまり、同意書そのものの効力が切れるわけではないけれど、
“実態”として怪しまれてしまう可能性があるということです。
【保険者への説明でOKな理由・NGな理由】
では、仮に初療日が1ヵ月以上空いてしまった場合、
どんな理由なら保険者も納得してくれるのか?
正当性が認められやすい理由の例としては、こんなものがあります。
◆ 正当な理由の例
・医師の同意は取っていたが、患者が直後に入院してしまった
・家族の介護・葬儀等で落ち着かず、施術開始が遅れた
・転倒などで一時的に状態が悪化し、施術ができない期間があった
・担当ケアマネが変更となり、再確認のためスタートを待っていた
このように、「やむを得ない事情」がある場合は問題ありません。
一方で、以下のような理由は避けるべきです。
◆ 説明しにくい(NG寄り)の理由
・「なんとなく放置していた」
・「春は暖かくて痛みが軽かったから」
・「忙しくて施術を入れそびれていた」
こういった理由は、保険者が不審に感じやすく、
場合によっては医師への問い合わせや、施術費用の不支給といった問題に発展するケースもあります。
【対策としてやっておくべきこと】
では、1ヵ月以上空いてしまうかもしれない状況があるとき、
どう備えておけばよいのか?
以下の点を意識しておくと安心です。
・初回施術は、なるべく同意書発行から2週間以内に行う
・やむを得ず空く場合は、日付と理由をメモで残しておく
・患者や家族に、「なるべく早めに始めましょう」と説明しておく
・施術開始が遅れた理由を、事実として簡潔に答えられるようにしておく
こうしておくだけで、仮に照会があっても慌てず対応できます。
【まとめ】
・同意書の効力は有効期間内であれば形式上は切れない
・ただし、発行日から1ヵ月以上空くと保険者から照会が来ることがある
・正当な理由があれば問題なし
・何も準備せず遅れた場合、保険者対応が難しくなる
・記録と説明の準備が、トラブル予防につながる
今回のようなケース、地味ですが「保険者対応がスムーズかどうか」に直結する大事な話です。
ぜひご自身の施術管理でも、こうしたポイントを押さえてみてください。